メイドさんという発明

 

昨今、恋愛というものの価値が80年代半ばから90年代初頭にかけてデフレ傾向に入り、今では大型ショッピングモールの客寄せとして、数十円でもやしと並んでいる世の中というわけですが。

萌兄は、大学で哲学を学んでいるし、清く正しく生きようと思っているので、そんな安っぽったい、恋愛には見向きもせず、日々メイドさん探しに奔走しているわけです。とても偉い子なのです。

どれくらい偉い子かというと、大事にとっておいた、最後に残った板チョコのピースを、メイドさんに口移しであげるぐらい偉い子なのです!

まあ、世の中、少子化といいますが、子供が居ないわけでもないのです。そう、何となく子供作っちゃう人たちが大量生産してくれるからです。今街を歩いている少年少女はだいたいこういう生まれ方をしているそうです。

何となく子供を大量生産する人の多くは、何となく離婚して何となくまた恋愛して何となく再婚して、また何となく、子供を大量生産。だから子供の教育とか躾に手が回らないのも仕方ないし、学級崩壊も必然としかいいようがありません。

しかし、これは彼等が悪いのではありません。恋愛は大安売りされているので、恋愛が好きな人たちはアレもコレもと欲しくなってしまうのはしょうがないのです。そして、悲しい事に、少子化の今、子供を増やしてくれるのは彼らのような人たちだけです。

恋愛以外に興味のある人は(オタクとか)、いくら安くても、嫌いなものを食べないのと同じで、恋愛をしないので、子供を残しません。ですからそのうち日本から、恋愛嫌いの人たちは遺伝子を残せずに消滅するでしょう。そして、何となく恋愛をしまくり、子供を大量生産する人たちの子供は、おんなじように子供を作りまくる人が多いので、子孫がどんどん増えてゆき、日本はそのうち再び人口爆発が起こることでしょう。さらば少子化。

しかし、萌兄はそれではいけないと思いました。恋愛をしまくる人しかいなくなると、何となく日本はバカに成りそうなので、それ以外の人にも増えてもらわないといけないのです。

そこで萌兄は『メイドさん』を発明しました。萌兄が思うに、だいたい恋愛嫌いの人たちの大半は、恋愛安売り競争の社会を見て育ち、「恋愛は何だか汚いな」と思っている人たちだと思います。そこでメイドさんが効力を発します。

メイドさんは主人様の奴隷なので、主人様がメイドさんに手を出すことは古代から禁止されています。しかしメイドさんはエロいので主人様はすぐにメイドさんを好きになります。ここで大事なのはメイドさんに手を出すことが禁忌であるということです。

『禁忌を犯してまで、メイドさんを犯したい!』『愛のために世の中に反逆ののろしをあげよう!』『そんなカッコいい愛はピュアラブだ!』といったかんじで、恋愛が好きでなかった人でも、好きになれるように、お膳立てをしてくれるのです。

据え膳食わずは何とやらということで、メイドさんによって、恋愛嫌いの人も子供をつくることができます。そしてもし、主人様がメイドさんを好きにならなくても、メイドさんはエッチなので、主人様を襲うので、子供はどっちにしても出来るので、これまた便利です。どうぞ皆さんもメイドさんを試してみては?

 

今まで、めいどさんという発明が生まれた要因や、メイドさんの機能についての概要については述べましたが、ひとつ大切な事を忘れています。

確かに、メイドさんは、主人様と増えるために開発された生き物ですが、確かに繁殖能力はあるものの、本質的に、メイドさんは母に成りえる存在ではないということです。

世の中が進み、恋愛がスパーマーケットで叩き売られる現在は猫も杓子も、愛さえあればとか、子供が出来たとかですぐ結婚したりしますが、メイドさんはそうは行きません。

メイドさんは主人様の奴隷なので、主人様と結婚するということはなかなか難しいのです。ですから、メイドさんが主人様の子を生んだとしても、メイドさんにとって、例えお腹を痛めて産んだ子だとしても、その子供はご主人様の子、つまり、『お嬢様』や『おぼっちゃま』であるのです。

つまり、メイドさんは、妊娠している最中は我が子であった者に、彼らが生まれた瞬間、使用人にされるということです。メイドさんはかくも悲しい生き物ですね。

しかしながら、メイドさんからは『お嬢様』や『おぼっちゃま』しか生まれないのかといえばそれは嘘になります。稀にメイドさんから『メイドさん』が生まれることもあるのです。それについては、また別の機会に。

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